インタビュー
「株式会社 木村板金工業」

代表取締役社長 木村 孝貴

地域貢献について

ではもう1つ、キーワードとして出てきた地域貢献について。
経営者として大切にされていることとは何でしょうか。もちろんお客様を大切にすることと、お客様以外にも大切にされている地域というものがあると思うのですが。

 地域というのはね、お客様だけじゃなくて地域全体で支え合っているんですよね。当然、お客様に支えられて会社というものが存在するんですけど、そのお客様の住んでいるところ、会社のあるところがその地域で、その地域を大事にしていかないと、周りのお客様からの信頼を得ることもできないと思う。
その地域というものが、自分がいる小さな地域なのか、もっと拡大してみて県単位なのか、日本なのか。そういう世界規模での地域貢献というものを考えています。
この地域には、日本で一番最初にできたNPOを支えるNPOというものがあるんですけど、設立当初から理事として参加してたんで、今でもそこに毎年寄付していたり、経営者として、地域社会への貢献というものは、すごく大事な部分だと思ってるので、うちみたいな小さな会社でも、どこかの国とか世界に何か貢献できることがあればと思っています。

 その1つとして、昔から興味のあった自然環境、環境問題に対する貢献として、ラッピング自販機というものを設置してるんです。うちで販売しているペレットストーブは、山の木を切って燃料にするという環境に優しいストーブなんですけども、さらにそのラッピングをした自販機で飲み物をお客様が買ってくれると、一本あたり10円が日本財団へ寄付されるようになっているんですよ。
日本財団は、いろんな社会貢献、国際貢献をやっている財団なんで、地域であの顔のマークの入った車が走っているわけですよ。そうしたら、従業員さんが子供に、お父さんお母さんの会社がこういう事やってるんだよ。お父さんお母さんが言ってた車がうちの小学校に来てたよって。そう言われたら、従業員さんもあぁ貢献してるんだと、社会貢献意識になるじゃないですか。

従業員さんからすると、会社で何かやってるなぁという程度で見てるかも知れないですけど、先ほど、経営者が勉強してきたことを従業員さんにも伝えていていく、と言われていたことと同じく、会社としての社会貢献も、こういう活動なんだよ、あなたの1本が、あなたの一言が、社会を変えていくんだよって、きちんと伝えていくことも大切ですね。
最近は小学校でもSDGsの勉強をするらしいんですけど、お子さんからSDGsって何、と聞かれた時に、お父さんお母さんの会社ではね・・・と答えることができれば、そこからまた思いがつながって引き継がれていく。
小さなコミュニティから大きなコミュニティへ、徐々に広がって、それが次の世代へと引き継がれていく。そういうつながりを大切にしていきたいですね。

 企業って、お金を儲けて税金を納めるだけじゃなくて、やっぱり地域社会への貢献をしたいじゃないですか。自分で何かをやっていなくても、そういうことをやっている日本赤十字であったり、日本財団であったり、そういう寄付する団体っていろんなのありますよ。

会社である以上は、お金儲けはしないといけないですし、利益も求めていく必要があるんですけど。地域に対してどんな貢献ができているのか、という事も、その地域にお住まいのお客様に対する技術提供と同じくらい、大事にしないといけませんね。

 お金儲け以外の部分って、やっぱり会社を支えるすごく大事な部分だと思います。だけど、意外とただお客様を満足させればそれでいい、と思って経営している人がたくさんいる。
そういう人は、もっと物事を大きく考えて、もっと高いところから自分のいるところを見た方がよく見える。小さな地域から見たって、その地域のことしか見えないんだったら、もっと県とか日本とか世界まで上がってみたらいいと思う。
経営者はいろいろ想像したり、次の戦略を考えたりしなきゃいけないんだから、事務所に閉じこもって、狭い環境で書類に囲まれているより、やっぱり広い環境の中で考えた方が絶対良い。

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